ただひたすらに別世界線を望む

『ひきこまり吸血姫の悶々』第4話/ 「ミリセント・ブルーナイト」について

『ひきこまり吸血姫の悶々』第4話を視聴した。

第4話の視聴後、本作品に登場するキャラクター「ミリセント・ブルーナイト」(以下ミリ)に対して想いが溢れてしまったため、ミリについて書く。

※原作未読

 

☆率直な感想

まず、ミリは悪いんだけど悪くないよ……というのが率直な感想である。

ミリが人をいじめてしまったのは、ほぼ親と教師のせいだからである。

 

ミリの親は、ミリに特殊能力である「烈核解放」を習得させたいと望んだ。

理由は、ブルーナイト家(ミリの家)がガンデスブラッド家(テラコマリ※1の家)と並びたいからである。そのために娘を使う時点で、嫌な親である。

そして親はミリに、「烈核解放」を習得せるための教師を連れてくる。

親が連れてきた教師は

・「烈核解放」の成功には、心の有り様が深く関係している。

・「烈核解放」の成功には、逆境にめげない心が必要。

・そして、心を鍛えるには、生命を脅かされることが有力。

との見立てを持っていた。

 

その見解の元、ミリは「神具」という武器で教師から、身体を痛めつけられる日々を送ることになる。

どんなに怪我をしても必ず治るこの世界で、「神具」は特殊な力を持つ武器である。なぜなら、この武器で傷つけられると怪我が治る保証はないからである。それゆえ、人を殺せる武器として、この世界で恐れられている武器である。

この世界において人を殺せる唯一の武器、「神具」を使ってミリは教師から痛めつけられていた。

ただどんなに教師から痛めつけられても、ミリは「烈核解放」を習得することができなかった。 

 

その結果、親からは

「クソ!お前はガンデスブラッド家の娘と比べたら出来損ないもいいところだ」と罵倒され、

教師からは、お前には「烈核解放」ができる才能がないと言われる。

そこでミリは、これからどうしたらいいのかを教師に問う。そこで教師から帰ってきた言葉が

「自由に振る舞いたまえ。愛しいと思ったものを愛で、憎いと思ったものを殺せ。」という言葉であった。

 

 

ミリはその言葉に影響を受けて「烈核解放」ができるヴィルヘイズ※2とテラコマリを殺すくらい苛烈にいじめてしまう。

 

 

この流れを追うとミリはいじめっ子として帰結してしまうのだが、私はミリの存在を肯定してくれない環境で生き続けたミリをすごいと思う。十分に逆境にめげない心を持っている。

しかし、辛い時に人をいじめることで平静を保っていたというのがミリの心の弱さなのかもしれない。そこが「烈核解放」を習得できなかった所以かもしれない。

ただ私もミリと同じように弱い心を持っているから分かるのだが、他者を愛しむ力とか、いじめを止めに入るとか、辛い時に人を攻撃しないとかは、そんなのは恵まれた環境にいる人にしかできないものだよと思ってしまう。

 

 

☆心の強さの種類

ミリには逆境にめげない心が無かったのではなく、別の種類の、逆境にめげない心があったのだと思う。 

例えば、家族が離散し自分1人しか信じられない状況においても、テロリスト組織に入って自分1人で生きてきたこと、それも逆境にめげない心だ。

この状況で屈せずに生きることを選んでこられたのは、ミリだからだと思う。

教師ももっと「烈核解放」に必要な心の有り様の種類を調べてから、ミリで試せよ!!とミリの将来を奪った教師の見解に怒ってしまう。

 

☆ミリの才能

ミリは教師から「これまでやってきてはっきり分かった。お前には烈核解放を発現させるだけの才能はないようだ。といっても見どころがないわけじゃない。それ以外の才能ならば、羨ましいほどにある。」と言われる。 

 

他の才能はあまるほどあるのに、「烈核解放」の才能がないというのが苦しい。父から求められているし、自分も欲しいものが手に入らない絶望感をミリは常に感じていただろうと思う。

 

ちなみにミリとは逆に、テラコマリは、3歳から勝手に「烈核解放」ができていた。

現実にそんな天才や秀才という括りはないと思ってはいるが、秀才は天才に敵わないといった構図を見ているようで胸が苦しくなった。

 

 

 

才能もあり、心も強いミリが破滅していく姿を見るのが辛かった。もちろん、人をいじめることは許されることではないが、周囲の環境が違えば、ミリは人をいじめず、ミリの数多くの才能を活かし、逆境に屈しない強い気持ちを武器に日々を生き抜けたであろう。

もし、ミリの周囲の環境が違えば、今とは絶対に違った結果になっていたと思う無念さが、心から離れない。

 

※1本作の主人公 カリスマ性とはこのこと。

※2主人公を支えるメイド。無表情ギャグ要員。

【重要事項】2人とも可愛い。